リサーチデザイン

thieda2005-08-27

今日は再来週の授業のために"Rethinking Social Inquiry"の要約を作成。
田村さんのいう、

ケース5〜6個というのは一つの論文では到底無理ですし、一冊の本でもかなりキツいでしょうね。単に作業が大変というだけでなく、political scienceではない人には、逆に、「個々のケースの理解が甘い。もっと勉強しろ」とか言われちゃいそうだという問題もあります。

という点はこの本でも確かに指摘されていました。

  • 質的研究において、変数だけに着目してケース選択をふやした場合、そもそも質的研究の強みであった「文脈知(unstructured knowledge and understanding)」が失われてしまう。
  • 比較を行う際に想定されている「単位同質性(unit homogeneity)」(KKV)あるいは「因果同質性(causal homogeneity)」(Rethinking)がケースを増やすほど損なわれる。
  • 「ケース内分析(Within-case analysis)」を行う質的研究ではそもそも観察の仕方が異なるのであり、計量研究のテンプレートを当てはめてケースを増やせば妥当な推論が可能となるわけではない。

など。上の二つはまあ納得だけど、「ケース内分析」の「プロセス・トレーシング」の恣意性が除かれていることをどのように担保するというのでしょうか。