研究環境

thieda2005-09-06

ここコロラド大学ボルダー校での研究はもっぱら英語で行っています(って、あたりまえか・・)。英語は日本語よりも読むのが遅くなるし、理解するのに手一杯で批判的に読むことまで手が回らないというのが実情ですが、英語だから研究しやすいという面もあります。その一つは、文献のリサーチが日本語よりも圧倒的に「楽」ということです。
例えば、主要な学術雑誌の論文で2000年ごろより前のものはJSTORで検索からPDFファイルのダウンロードまでできます。また、2000年頃以降のものはGoogle Scholarで検索すれば、最近の雑誌は出版社のHPで要約と本文のPDFファイルが公開されているので、一発で手に入ります*1。大学の寮なので、JSTORも電子ジャーナルもダウンロードし放題です。日本では論文を図書館で探して、それを一枚一枚コピーするだけで何だか一仕事終えたような気になったものですが、こちらではその手間が省けます。
さらに、データ分析の授業で使うデータも、アメリカにはデータ・アーカイブがたくさんあるのでデータを選ぶのに一苦労でした。例えば、ミシガン大学がやっているICPSRには何千件という、政府、各種財団、メディア、大学等がやった調査のデータが収められていて、ダウンロードし放題です*2
日本で朝日・読売・毎日・日経の世論調査を一堂に集めたアーカイブなんて想像できないし、研究者の行った調査のデータセットでさえなかなか学界の共有財産とはならないのが実情でしょう*3。何がこうした違いを生んでいるのでしょうか?英語と日本語、あるいは研究者の数といったマーケットの違い?研究に投資される資源量?
早稲田政経のCOEあたりが社会科学データ・アーカイブなんて作ってくれないものでしょうか(もしかして、もう作ってる?)。

*1:ただし、大学が出版社と購読契約していて、大学のネットワークからアクセスしないとダメです。

*2:これも所属の大学がICPSRに加盟していないとダメです。

*3:レヴァイアサン・データバンクというものが確かありますが・・・。