ラムゼイヤー&ローゼンブルース(1993)
- 作者: J. Mark Ramseyer,Frances M. Rosenbluth
- 出版社/メーカー: Harvard University Press
- 発売日: 1997/03/25
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: J.M.ラムザイヤー,F.ローゼンブルース,加藤寛,J.Mark Ramseyer,Frances McCall Rosenbluth,川野辺裕幸,細野助博
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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いまでは常識となっている中選挙区制という政治制度と派閥や族議員の関係を合理的選択制度論の観点から初めて論じた*1というのはすごい。族議員の出現を「政党優位の現われではなく、むしろ逆で、都市中間層向けの政策と自民党陣笠議員の選好の乖離が官僚機構への介入を生んだ」とする議論など、実証面で難点が多いとは思うが、日本政治研究のブレークスルーとなった名著なのだと思う。おそらくラムゼイヤーが書いたと思われる日本の司法制度を描いた部分が、「試論に過ぎない」と随所で断っている割には実証的に緻密だ。そして、結論部で中選挙区制度から小選挙区比例代表制度への選挙制度の変更が生み出すであろう変化を予測している部分は、選挙制度改革以降の、とりわけ現在の小泉政権下で起こっている変化を驚くほど的確に予言してい、プリンシパル−エージェント理論の説明能力の高さを立証しているように思われる。
アメリカで政治学を勉強していると「日本は特殊だから・・・」という話を何度となく聞かされるので、この本のように「特殊なのは制度であって、そこに住む人間は同じ」という議論を読むと変に納得したくなる気になります。
*1:のだと思う。定かでない。