比較政治学セミナー

今日のテーマはO'Donnell(1973)ということで、近代化論と民主化権威主義体制の話でした。議論の基本線はハンティントンと一緒で、「関税による保護の下、輸入代替工業化を進めた南米先進工業国アルゼンチン・ブラジルは、工業化・都市化にともなう政治参加の拡大でポピュリズム政権が栄えたが、輸入代替工業化による発展の限界に直面した結果、大衆政治的インプットに応答し続けることができず、工業化のもう一つの側面であるテクノクラシー化によってポピュリスト体制から官僚制的権威主義体制へと移行した。その意味で、画一的な「近代化→民主化」を想定する近代化論には誤りがある。」というものです。
アジア諸国の近代化は輸出志向工業化によって行われ、民主化は南米のパターンと真逆を行っているので、この議論の普遍性は甚だ疑問ですが、70年代の近代化論批判の薫りに触れるにはよい文献かなと思います。それにしても、アメリカの比較政治学ではラテンアメリカ研究が本当に一大勢力のようですね。まあ、「裏庭」という感覚なのでしょうが。

Modernization and Bureaucratic-Authoritarianism: Studies in South American Politics

Modernization and Bureaucratic-Authoritarianism: Studies in South American Politics