Obinger, Leibfried, and Castles (2005)
Federalism and the Welfare State: New World and European Experiences
- 作者: Herbert Obinger,Stephan Leibfried,Francis G. Castles
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2005/06/02
- メディア: ペーパーバック
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[方法]連邦制をとる六つの国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、オーストリア、スイス)を事例としたケーススタディ。
[議論]ケーススタディの結果、通説の通り、連邦制は福祉国家の発展期にはそれを抑制する働きをするといえる。しかし、連邦制をとる国の中でも、連邦制導入以前に非民主主義体制のもと社会保険制度を整備した国々(ドイツ・オーストリア)では連邦制を採用し民主主義体制となった戦後の福祉国家発展期において福祉国家は拡大できた。それは、社会保険制度が連邦制をバイパスしたからである。一方、連邦制を先に確立し、その後に福祉国家体制の整備を図った民主主義国家では福祉国家の拡大は抑制された。
一方、福祉国家の削減期("silver age")では、拒否点が多く政策変更が難しいという特徴を持ちやすい連邦制国家では、社会保障支出の削減が難しいといえる。連邦政府・地方政府の選挙の機会が多い上、社会保障政策に利益を得ている地方政府が削減を阻止しやすいからである。
結論としては、連邦制の内実はさまざまである以上、単にダミー変数とするのではなく、それぞれの国のプロセスを仔細に追う以外ないのである。
[論点]