Derthick(1979)

Policymaking for Social Security

Policymaking for Social Security

ようやく読了(時間かかり過ぎ!!)。
[議論]
本書はアメリカの"Social Security"の歴史を政治アクター別、プログラム別に整理したもの。"Social Security"を日本語に訳すと「社会保障」となるが、アメリカの文脈で言うと「拠出制年金」に近い。ただし、1960年代に設立された"Medicare"(老人健康保険制度)も"Social Security Act"(社会保障法)の中に含まれ、年金の保険料となる"Payroll Tax"から賄われていることを考えると、所得比例型の社会保障制度全体が"Social Security"に含まれるということだろうか。
著者の論旨としては、社会保障法を所掌する"Social Security Administration"(社会保障庁)の官僚の企画・調整力と、年金制度自体のもつ制度の膨張性(「小さく生んで大きく育てる」)が、その"Social Security"の政策史を特徴付けているということであろう。
[論点]
アメリカの社会保障を扱うひとには必読の書(らしい)。たしかに、この本からの又引き多し。
・長い。議会証言や、インタビューの長文引用が多いので、読みづらくて仕方なし。やっぱり、文章にまとめてない会話はこんがらかっていて大変。何度睡魔に襲われたことか・・・。
・著者は"Statism"や"Path-Dependence"という用語を使っていないが(70年代はそういう用語はメジャーでない)、政策決定過程における官僚機構の役割や、政策自体のもつ経路依存性が、福祉国家の発展の過程を説明することを示している。