研究指導

今日は以前にお互いの博士論文草稿を交換し合っていたフランカ先生とのランチ。フランカ先生には事前にコメント(特に理論面での)を送ったいたのですが、ちょっと厳し目のコメントをしていたので、どれほどの厳しいコメントが自分の草稿に返ってくるか戦々恐々として待ち合わせ場所で待機していました。ランチでは最初は「最近どうよ?」と近況報告ではじめたわけですが、フランカが「一時間ほど前にあなたの博論へのコメントを送ったのだけど・・・」と口火を切り、厳しいながらも的を得たコメントいただきました。博論の主査と副査からは「これでいいんじゃね?」程度のコメントしかまだもらってなかったので、非常に参考になりました。
ただ、最後まで意見が食い違ったのは社会的ケアに果たす文化の役割でした。政策と文化の関係がトートロジカルになる恐れを認識しつつも、イタリアとイギリスの高齢者介護政策の違いや、オランダ内部の高齢者介護と保育政策の違いは文化を考慮しなければ説明できないとするフランカ先生と、「全ての文化論を疑え」と訓練されてきたため文化による説明に一々反駁する自分とでそれなりに面白い議論になったかと。フランスやベルギーの特殊な幼児教育政策や、イギリスにおける「ナニー」の役割から、保育政策においては「文化」の役割を認めるのに吝かではありませんが、近年の日本の介護への認識の変化から社会変動のほうがよっぽど重要だし、文化では三世代同居率の変化やフォーマルケアへの認識の変化を説明できないのではないかと思うわけです。自分としては「文化」はいくらやっても説明しつくせない最後の残余に取って置きたいんですね。