ウプサラII

 EUI時代の友人に会いにウプサラにふたたび行ってきました。友人は同年にEUIに入学し、イスラム穏健政治運動を研究しています。博士論文の草稿を1月末に提出し、家族の住むウプサラで一休みというわけです。
 気温は冷え込んでいたものの、快晴という天気だったので、ウプサラの街を案内してくれました。

 ウプサラは北欧最古の大学が建てられた街で、古い町並みも残され、日本で言えば「古都」といった雰囲気の学園都市です。

 そのウプサラ大学は昔から医学部が有名で、その一番古い建物には昔、生体解剖の公開講義に使われていた講堂が再建されて観光用に公開されています。

教会の権威が強かったころは死体の解剖は許されていなかったものの、その後、刑死体と自殺者の遺体に限って許されるようになり、特別に作られた医学部の講堂で解剖が行われていたそうです。そして、それは単に医学部の授業としてだけではなく、一つのイベントとして告知され、高い入場料で一般にも公開されていたのだとか。

 講堂は全て木造で、火事の心配から暖房は許されず、明かりも自然採光のみ。しかも、腐敗の問題から解剖は冬季のみなされていたそうです。寒かっただろうな。

 ウプサラ観光の後は、スペイン料理のお店に連れて行ったもらい、彼の息子へのおもちゃを買った後、駅前の喫茶店でお茶をしてしばらく語り合い、ストックホルムに帰ったのでした。

 興味深かったのは、ランチのお店の通りの前でいわゆる「ネオナチ」がデモンストレーションをしていたこと。「南アフリカでのジェノサイドを止めよ!」とスローガンを掲げていて、警察と少々揉めていました。スウェーデンでも移民の流入に伴いいわゆる「スウェーデン人至上主義」的な運動が勢いを持ち始めており、議会でも移民排斥政党が議席を得たところで、ボスニア移民二世の友人は最近の流れを非常に心配していました。