比較政治学セミナー

thieda2006-05-03

今日で比較政治学セミナーは終了です。そこで、本日のテーマは「エリアスタディーズ論争」と「国際関係論−比較政治学論争」でした。「エリアスタディーズ論争」では、APSR比較政治学部会のニューズレターを題材に、比較政治学は各国をケースとしてゲーム理論などを用いながら一般理論を目指すべきか、それぞれの対象の国の深い理解を目指すべきかという点を議論しました。「国際関係論−比較政治学論争」ではIRとCPの境界とは何で、現在どうなっているのかという点について議論を深めました。
ニューズレターの Chalmers Johnson のエッセイを読んで、Johnson と Rosenbluth が反目しあっている(未確認情報)というのも納得。というのも、Johson は「Gary Cox & Francis Rosebluth はあんな論文書いてアホか」(意訳)とか書いているし。『通産省と日本の奇跡』に見て取れるように、Johnson が日本のことを良く知っていることは認めますが、授業ではJohsonが合理的選択論を誤解している点や、エリアスタディーズ的アプローチは対象の国の人々にとってはあまり新奇性がなく、むしろ合理的選択論の天下り的アプローチのほうが(実証に難があっても)面白いことを指摘しておきました。アメリカ人で比較政治学をやりたいなどという人は、つい「理解」重視の文化人類学的アプローチに惹かれ気味なので。とりあえず、Johnson にユーモアのセンスがないという点で合意。
面白かったのが、リーディング自体が政治学部の大学院教育や就職における「縄張り争い」を語っていたということもあって、就職においてはどっちが有利かという議論にかなりの時間を割いていた点です。やっぱりアメリカはプラグマティズムの国なので。そして、比較政治学者としてフォーマルモデルや統計学を使った研究を磨くべきか、一つの国やエリアに特化してそこの深い知識を得るべきか、その折衷を行くべきなのか、また比較政治と国際政治の境界事象をやることは就職に有利なのかどうなのかという点を話し合いました。どうやらアメリカではフォーマルモデルおよび統計学の知識はあったほうが(地域研究に特化するよりは)望ましく、国際関係論もかなり知識のある比較政治学者のほうが就職には有利らしいです。日本も同じかな!?