アムステルダム珍道中四日目

土曜日は朝十時の飛行機でフィレンツェに帰る日。7時前に目を覚ましてシャワーを浴び、凍える寒さの中、アムステルダム空港に向かいました。ところが、自動チェックイン機の前にすら長蛇の列。しかも、自動チェックイン機にパスポートをかざしても、マイレージカードを通しても、予約番号を入れても一向にチェックインされず。仕方なく友人のチェックインカウンターに並ぶとこちらは職員が数人しかおらず、しかも自動チェックインされないお客さんばかりということで遅々として進まず。空港に出発一時間20分前に着いたにもかかわらず、窓口まで辿り着いても飛行機に間に合わないという形になってしまいました。すると、同じ航空会社のチケットで同じ機でフィレンツェへ向かうイタリア人カップルが「Meridianaの私たちのフライトはキャンセルされたらしいので、この列から出なきゃダメよ!」とのたまい、思わず列を出てしまいました。実際、イタリアでは前日に大規模な交通機関ストがあり、友人の飛行機もキャンセルの憂き目に遭っていたので「さもありなん」と思ったのです。
しかし、チケットカウンターに並んで受付に聞くと「キャンセル?キャンセルはされてないけど、もう間に合わないわね」というお言葉。どうやらおっちょこちょいのイタリア人カップルにデマを流されたようです。しかし、自動チェックイン機でチェックインされなかったのは事実ですし、どうも予約におかしいところがあるらしく、そのKLMの係員は「翌日のフライトに変更してあげたわ」と予約票をくれました。
そんなこんなで、一日空きができたので、アムステルダムに戻り、駅前の旅行者案内所でホテルを予約し、電車でハーグに向かいました。この日は珍しく晴れ渡った空だったので、電車の旅には最適でした。クリークや畑の続く風景はどこかしら地元の北海道に似ているのですが、違うのがどこを見渡しても山がないこと。オランダは低地ヨーロッパなんですよね。あと、発電用の風車が並んでいて、さすがエコなEUと一人感心してしまいました。
ハーグは首都ではないものの、国会議事堂や王室のある場所で、アムステルダムよりももっと空間にゆとりのある街でした。といっても、アムステルダムも道路には自動車用、市電用、自転車用、歩行者用の車線が並び、路上駐車の車も心なしかゆとりをもって停めているというように、フィレンツェに比べればずっと余裕のある街づくりではありますが。フィレンツェが本州のどこかの城下町とすれば、アムステルダムは札幌みたいな。ハーグはそれにましてだだっ広い感じです。

訪れたのはモーリッツハウス美術館。ここはフェルメールレンブラントといったオランダの至宝がならぶ美術館です。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」に魅入ってしまいました。でも、そうした名品だけではなく、オランダの近世の風景画家の作品も多数展示されていて、無料で貸し出されているインタラクティブなオーディオガイドではそうした絵の時代背景や作者の特徴、そしてその風景画に描かれた風景が現在はどうなっているのか写真で見られるようになっていて面白かったです。こぢんまりとした美術館ですけど、おススメです。


さて、この日旅行者案内所で予約した宿は駅前のホテルで、夕食を食べるレストランを探しに裏手をうろうろしていたら、すぐにガイドブックで見ていた「飾り窓地区」に出くわしました。ここは娼館が集まる地区で、時代劇でみる吉原さながら、お姉さん(おばさん?)が下着で通りの人達に見えるように「ディスプレイ」されているのです。思わず写真に撮ってしまいました。しかし、物騒なのでふらふらせずに退散。ちなみに、合法的にマリファナを供している「Coffee Shop」はこうした歓楽街だけでなく、アムステルダムの街のいたるところにあります。だから、アメリカのドラマではアムステルダムから到着した飛行機だと税関が持ち物を厳しくチェックするというネタが通じるわけです。