そして、空いた時間は溜まりに溜まった映画鑑賞。
まずは、David O. Russell監督の奇作"i ♥ huckabees"。内容はといと、
環境保護団体の活動家・
アルバートがスーパーマーケット「
ハッカビーズ」の進出に伴う空き地の開発に反対する運動の過程で自分の実存に疑問を持ち、
ダスティン・ホフマンとリリー・トムリン扮する「実存探偵」に自分の実存の調査を依頼するところから物語が始まる、という奇妙奇天烈なお話。「
ハッカビーズ」の幹部としてジュード・ローが、その彼女であり、
ハッカビーズの広告塔でもある役に
ナオミ・ワッツが出てきますが、両者とも実存の危機に陥っていくという不思議な展開です。話が錯綜し、セリフも多いので、のんびり何も考えずに映画を楽しみたい人にはおススメできませんが、「マルコビッチの穴」とか好きな人には合うかも。ちなみに、僕のツボにはははまりました。
次は"Happiness"。アカデミー俳優、
フィリップ・シーモア・ホフマンも出ている、現代
アメリカを舞台にしたブラックコメディです。ある三姉妹が主人公で、長女のジョイ(この名前も皮肉です)はミュージシャン志望のテレフォンア
ポインターで、何をやっても上手くいかない女性。次女の
トリッシュはそんな長女に心底同情している、
精神科医と結婚したアッパーミドルの専業主婦。子供にも恵まれ「自分は幸福なのになぜジョイは」と哀れむわけですが、実は
精神科医の旦那は幼児性愛者で、息子の同級生に「恋心」を抱ています。三女のヘレンは美人で売れっ子の作家で、望んだ男性は誰でも手に入るのですが、自分の容姿に皆は惹かれているだけと満たされない思いを抱いています。そして、ある「体験」をするために、自分に無言電話をかけてくる変態な隣人(ホフマン)にアプローチをかけます。
三人の人間関係が少しずつつオーバーラップしながら物語は展開しますが、上辺で「幸せ」と強調すればするほどミジメさが透けて見えてきて、ニヤリとさせられます。テイストとしては、森田監督の「
家族ゲーム」に似ているでしょうか。
最後は、"Lars and the Real Girl"。これは
アメリカ(おそらく
ミネソタ辺り)の小さな街が舞台の映画で、主人公・ラースという青年の成長を描いた作品です。設定が奇妙で、家族やコミュニティと心を通じ合おうとしないラースが、ある日、同僚から教えられたポルノサイトで注文した等身大の"Sex Doll"が家にやってくるところから物語りは展開します。ラースはその人形を本物の「女性」として扱い、隣家の兄と兄嫁に「彼女」を客人として滞在させて欲しいと頼みこみます。人形を「人間」と思い込むラースに兄夫妻も周りも呆気にとられるわけですが、次第にそれを受け入れ、ラースは人形との「恋愛関係」を通じて、家族やコミュニティとの「人間関係」を再構築していく、というお話です。
舞台設定は風変わりなのですが、寒い
アメリカ中西部の教会を中心としたコミュニティの人々が皆暖かく、ほのぼのとさせてくれます。ドラマを作ろうとする過剰な演出もなく、見ていてホッとする映画です。
しかし、こう並べると、どうも映画の好みに偏りがあるなー。