ジョブマーケット

ワークショップの昼食時に食卓を囲んで「政治学社会学のジョブマーケットはいかなるものか、どう対策すべきか」というディスカッションがありました。若いヨーロッパとアメリカの若いアシスタント・プロフェッサーがいろいろと話してくれたのですが、日本はやはりヨーロッパに近いようです。
アメリカの場合、アメリ政治学会のジョブニューズレターに必ず公募情報は載せなければならず、例えばヨーロッパ比較政治の一つのポストに少なくとも125通ぐらいは応募があるのだとか。そうなると採用委員会は全員分の博士論文を読むわけにはいかないので、推薦状や出身大学(イェール、ハーバード、バークリー、他)が研究を読んでもらう前の段階で重要になるそうです。ただ、ジョブトークに呼ぶという段階になるとしっかり研究業績を読み込むことになるので、ネームヴァリューだけで採用ということはなく、しかも最近は院生のブログが発達していていろいろな大学で採用プロセスがどの程度進んでいるのか、誰が何回ジョブトークに呼ばれたのか、等々、「透明化」がさらに進んでいるので、その分ストレスが溜まるのだとか。
ヨーロッパの場合、ヨーロッパ全体での採用システムは確立しておらず、各国ごと、各大学ごとに違うので、どこでどの採用が行われているのか分からず、応募機会を逃す可能性もあるのだとか。そのため、働きたい国での人的ネットワークはいまだ重要だとシリヤ・ホイザーマン氏は強調していました。ただ、アメリカと違い、教授の職には雑誌論文など研究業績がある程度貯まってからでないと採用されないので、博士号取得後数年ポスドクをやって、その後講師にというのが一般的な流れのようです。
EUIの場合、学部生がいないので博士課程研究員は教育負担がないのですが、それがメリットでもあり、デメリットでもあるようです。博士論文執筆中は研究に集中できるというメリットがあるものの、ジョブマーケットにでると教育経験がないというのがデメリットとして働くので。ただ、ヨーロッパではかなりネームヴァリューがあるので、就職はそれなりに良いようですが。